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年下の男の子

オミ君は私より4つ年下の男のコで、人懐っこい笑顔が魅力的だ。
ついつい、なんでも許してあげたくなる。

いつもオミ君は突然やって来て、
「腹減った」
とか
「眠い」
とか
自分のペースで私を振り回して、
私はオミ君に会えない時は、なんだかこの部屋ががらんと寂しく感じられて、
それでまた、オミ君が勝手に衝動的に会いに来たのを、
受け入れてしまう。
オミ君はいつだって、勝手でずるいのだ。

一昨日もオミ君は、夜遅くに突然来て、
「腹減った」
と言うので、買い物に出られなかった私は、
何かしらないかと冷蔵庫やストックを漁り、
やっとの思いで先週冷凍した鮭の切り身を見つけて焼き魚定食みたいなのを作った。

普段は無愛想なオミ君が、
「美味い!」
と笑うと、さっきまでちょっとずるいと思ってた私の心は、
なんだか済んでしまった。

オミ君の左目の脇には子供の頃、
5つ上のガキ大将と喧嘩して出来た傷がうっすらと残ってる。

けれど、その傷は、むしろオミ君にとって勲章のようなものらしく、
私がその傷跡を指でなぞるたびに得意気にニッと笑う。
そうして私たちは軽いキスをする。

柔らかそうな、くせ毛は
陽の光があたると、本当に温かそうで、綺麗で、
毎日その頭を、撫でたり眺めたりしたいな、と思う。

オミ君は普段はいつもおだやかでのんびりしてるけど、
きっと怒ったら怖いに違いない。
でも時々、本当に時々、私はどうにかしてオミ君を怒らせたくなる。
オミ君、ごめん、と思いながらも
意地悪な感情がもくもくと湧いて出てきて、
「なんで自分勝手ばかり」とか
「急に来てもご飯なんてないからね」とか
強い口調で、言い放つ。
それでもオミ君は怒ったりしない。

そしてなんともいえない表情をして、
「ごめんね」
とひとこと言うと、出て行ってしまった。

それからオミ君が私の部屋に来ないので、
私はすごく後悔しながら居てもたってもいられなくなって、
さっきまで家の中をウロウロしていた。

ネットをする手もおぼつかない。

もう、来なくなっちゃったら、どうしよう。
二度と会えなかったらどうしよう。

オミ君の連絡先も知らない。

なんだか涙が出てきて、私は
本当にオミ君のことが好きだったんだな、と、そう思った。

ふと、オミ君が私を呼んだ気がして
私は慌てて玄関のドアを開けた。

するとオミ君が座り込んでいた。

「もう、逢えないと思ってたんだからね!急に居なくなるなんて酷い」
と、そこまで言ったら後は声にならなかった。

オミ君は部屋に入ってくると黙ったまま私の隣に座った。
そして私を覗き込んで、私が泣き止むのを待ってから、
「腹減った」
とぽつり言った。

私はすっくと立ち上がりキッチンへ向かい、
昨日買いに行ったホタテの入ったパックを冷蔵庫から取り出して、
居間に居るオミ君に見せた。
「好きでしょ?ホタテ。」

オミ君は
とびきり嬉しそうな顔で、
しっぽをくるんとさせた。
Author: しゅが 
創作 |